無死一塁で救援に立った投手は、規定の準備投球が終わった後、気を静めるために投手板を踏んだまま三塁手にボールを送りました。その瞬間に審判から「ボーク」を宣告されましたが、どうしてでしょうか。 これは、まったく不注意なリリーフ投手で、ボークを宣告されるのも当然です。ボークの規則である8.05(d)には以下のように記されています。
「投手板に触れている投手が、走者のいない塁へ送球したり、送球するまねをした場合。ただし、プレイの必要があればさしつかえない」 プレーの必要がある場合というのは、例えば走者一、三塁の状況で、一塁走者がスチールのスタートを切ったので二塁へ投げたり、飛球で進塁した走者の離塁が早かったと判断して、アピールのための送球をする場合です。気を落ち着かせるために送球するのであれば、投手板から足を外してから投げるべきです。
古い話になりますが、83年8月12日の大洋-
中日戦(横浜)でこんなプレーがありました。3回裏の大洋の攻撃は一死一、三塁です。このとき、大洋の
古賀正明投手がセンター前に痛打しました。二塁の塁審が両手を広げたのでフェアであり、三塁走者の
屋鋪要は得点しましたが、一塁走者の
辻恭彦はダイレクトで捕球されたと思い一塁へ戻ったので二封されました。
ここで中日から直接捕球ではないかと抗議がありましたが、判定は覆らず、そのままプレーが再開されると、中日の
藤沢公也投手は三塁へボールを送りました。藤沢投手はセンターが直接捕球したものと錯覚し、アピールのために三塁へボールを投げたのです。しかし、実際には古賀選手の中前打で三塁走者は得点しているので、アピールする必要はありません。
藤沢投手は走者のいない塁へ送球したことによってボークが宣告され、一塁走者の古賀には二塁進塁が許されました。