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触らせたくないもの

 

 自分の持ち物で、自分以外の誰にも触られたくないものって何だろう。考えてみたけれど、見つからない。「貸して」と言われれば貸すし、「触らせて」と言われれば、触ってくれていい。何だってそう。誰にも触らせたくないほど、大事にしているものなんてない。

 広島木村昇吾にとってはグラブがそれにあたるらしい。「彼女みたいなもの。触らせたくないでしょ。何なら、人目にさらしたくもない」と言っていた。

 報道陣や関係者が多く出入りする試合前練習、大勢の子どもが集まるオフの野球教室、誰かに触れられる可能性がある環境に、グラブを出すことはない。そのときに使用するのは練習用のサブで、唯一無二の一つはグラブ用のケースに入れて、厳重に保管しているそうだ。

 いよいよ、試合が始まるという試合前ノック。そこではめるのも練習用だ。

「皮がヘタるのがイヤなんで、使うのは試合の本番だけ。あとは絶対に使わない」という念の入れよう。

 現在、使用しているプロに入って4個目のグラブは、2010年からだから、足掛け5年も同じものを使っている。毎年、毎年、同じ材質、同じ型のグラブを用意してもらっているが、現在のグラブを超えるものには仕上がらないらしい。「不思議ですよ。グラブもやっぱり生き物だと感じる」

 木村にとってそのグラブは、真剣勝負のときだけ抜く、伝家の宝刀だ。なんか、カッコいい。そんなやつを何でもいいから1つ持ってみたい。しかし、真剣勝負の場に立つ機会のない私にはやはり、自分以外の人に触らせたくないものなど、ない。(菊池)
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週刊ベースボール編集部による日替わりコラム。取材のこぼれ話も。

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