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岡田彰布コラム

鳥谷の残留と黒田復帰。優勝を狙う両チームにとって、最良最大の“補強”に成功した

 

今年のセのキーワード。それは「メジャー」よ


 オレは小さいとき、親父(故勇郎氏)から徹底的に鍛えられた。それはプロ野球に進むという親子の目標があったからで、例えば野球の練習以外に、こんなことがあった。親父が言う。「できるだけ、本を読むな」である。細かい字を読めば、視力を落とす。親父はそう思っていたわけだ。学校の教科書は別だが、オレは漫画とか読んだ記憶はない。親父の教えに従って、小さな文字は避けてきたわけよ。

 ただ、ね。週刊ベースボールだけは別。毎週、むさぼるように読んだわ。今週号は選手名鑑が掲載されると聞き、ホンマ、懐かしく思ったな。この時期に発売される週刊ベースボール。この選手名鑑が楽しみで仕方なかったわ。○○選手の出身県、出身学校、住所、趣味……。個人情報が満載で、これを必死で覚えたものよ。

 いまは個人情報の問題で、詳しいことは掲載できなくなっているが、昔はホンマ、事細かにデータが載っていたものよ。それを覚えて、自慢していたわ。だから週刊ベースボールの選手名鑑には特別な思い入れがあるわけよね。

 そんな名鑑が掲載される今週号。プロ野球はキャンプに突入している。さて、注目すべき点はどこか。キーワードは「メジャー」とオレは考えている。メジャーを目指して、結局は熟考の末、阪神に残った鳥谷(鳥谷敬)。さらにメジャーの好待遇を蹴り、古巣の広島に戻ってきた黒田(黒田博樹)……。この2人のこれからが本当に注目される。

 まず鳥谷よ。阪神にとっては大きな悩みがなくなった……ということになる。もし鳥谷がメジャーに向かっていたら、阪神はシーズン最下位もある、とオレは考えていた。1人抜けたくらいで…と思うだろうが、鳥谷の存在は大き過ぎる。大和をショートに回せばカバーできるといった声を聞いたが、それで埋まるような穴ではない。とにかく全試合、全イニング出るんやから。ケガがあれば別やけど、監督にとって、これほど頼りになる選手はいない。だからよく残留してくれた……というのが素直な感想やな。

 2004年、オレの監督初年度に入団してきてから、描いたとおりの成長を遂げている。「将来、必ず阪神を背負っていく選手になる」と思って、オレは鳥谷を使い続けたけど・・・

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岡田彰布のそらそうよ

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選手・監督してプロ野球で大きな輝きを放った岡田彰布の連載コラム。岡田節がプロ野球界に炸裂。

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