急造チームが一つになった微笑ましい光景

高校日本代表チーム解団式後の集合写真で突如、「シャキーン!!」が解禁された。音頭を取った吉田(後列中央)ら高校日本代表チームは激闘を終え、良い表情を見せていた
第12回BFA U18アジア選手権(宮崎)で高校日本代表は9月10日、中国との3位決定戦を制して、銅メダルを獲得。翌11日の解団式を最後に、チームとしての公式行事を終えた。
常に多くの報道陣に囲まれていたのは金足農高・
吉田輝星だった。大学か? プロか? 注目の進路については「白紙」を強調し、9月30日に開幕する福井国体後をメドに最終結論を出すという。
秋田大会、準優勝を遂げた甲子園、そして今大会の激闘を終え、この日の吉田は終始、リラックスムード。報道陣から「国体では『侍ポーズ』やりますか?」という質問に対しては、苦笑いを浮かべ「考えます」と答えた。
8月31日、宮崎高校選抜との壮行試合で披露した「シャキーン!!」も、国際大会では「アンリトン・ルール」(大会規約には記載されていないが、相手を侮辱する行為は、マナー違反の観点から暗黙の見解として固く禁じられている)を順守するというチーム方針から、同ポーズを自粛していた。
解団式後の取材対応を終えると、大会役員が「集合写真を撮影しましょう!!」と声をかけた。選手だけでなく、これまでチームを陰から支えてきたスタッフも全員集合だ。
そこで、思わぬ形で「シャキーン!!」が解禁された。撮影を取り仕切るカメラマンが「侍ポーズ」を要望したのである。偶然にも、後列中央は吉田が陣取っていた。
吉田は自ら音頭を取ると、チーム全員で「シャキーン!!」。皆、良い表情をしていた。
今大会は3位と目標の連覇を達せることはできなかったが、全員で共有したチャンス(目標)に向かってチャレンジしたことは大きな意義がある。韓国とチャイニーズ・タイペイに連敗し、決勝進出の可能性が途絶えた後は、あきらめずにチェンジを試み、3位を死守している。チャンピオンにこそなれなかったが、短期間で結束したのは事実である。これが、永田裕治監督が強調していた「4つのC」。そして、その集大成が「侍ポーズ」。急造チームが一つになった微笑ましい光景だった。
文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎