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首位・阪神と2ゲーム差の2位。後半戦、巨人が逆転優勝を飾る3つの理由

 

大きい主将の存在


チームを牽引する坂本。東京五輪でも抜群の存在感だった


 前半戦終了時点で首位・阪神に2ゲーム差の2位。後半戦で巨人が逆転してリーグ3連覇を飾る――。その理由は大きく分けて3つある。

 まず1つ目は東京五輪で金メダリストになった坂本勇人の存在だ。侍ジャパンの一員として悲願の金メダル獲得に大きく貢献。全5試合に「二番・遊撃」で先発出場し、ドミニカ共和国との初戦ではサヨナラ打を放つなど、打率.333と勝負強さを見せつけた。「東京オリンピンクが開催されることが決まってから、僕の一つの夢でした。金メダルが獲れたことに感無量です」。仙台での強化合宿を含めて約20日間。稲葉篤紀監督の誕生日を祝ったり、宿舎では卓球を行ったりするなどチーム内の親交は深まった。

 そして頂点に立った選手たちが、各球団に戻る。ある選手が「チームに戻っても、みんな(代表選手)に負けないように。頑張りたい」と明かしたように、後半戦では互いを意識し、切磋琢磨することになる。目標を達成し、モチベーションを高めたキャプテンの再合流はチームにとって追い風となる。心配される「燃え尽き症候群」もないだろう。

 2つ目はエースの復調だ。その東京五輪をコンディション不良で辞退した菅野智之。「大きなあこがれであり、目標の一つでした。辞退することになり、本当に残念でなりません」。内定後の7月1日の広島戦(東京ドーム)で2回1/3を6安打4失点KO。2本塁打を浴び、32球で降板していた。翌日に今季4度目の出場選手登録抹消。五輪による中断期間を使い、体調を立て直した。ここまで実戦登板はしていないが、ブルペンでも球数をこなす。「間違いなく離脱する前よりは状態がいい。今の状態が維持できれば問題ない」と手応えも口にしている。

 先発陣は高橋優貴が9勝、戸郷翔征も8勝をマークしているが、まだ柱になれまでの存在ではない。投手陣全体の防御率はリーグ3位の3.44。優勝争いも佳境を迎える後半戦はエースとして経験と実績のある菅野が復調する意味は大きい。加えてドミニカ共和国代表として銅メダルを獲得したメルセデス、サンチェスも再合流。代表辞退のエースと、代表組2人が安定感をもたらす。

新外国人が起爆剤に


今季、メジャーではレッズで19試合に出場していたハイネマン


 最後に3つ目は補強した新外国人だ。8月6日、レッズ傘下の3Aルイビルから自由契約となっていたハイネマンの獲得を発表した。メジャーでの実績は乏しいが、3Aでは通算で打率.304、20本塁打、86打点と好成績を残す。24盗塁と足もある。オフに獲得し、春のキャンプ、オープン戦と段階を踏む助っ人とは異なり、この時期の獲得選手にはより順応化が求められる。

 その点、俊足で外野の全ポジションと一塁を守れるハイネマンは、補強条件にも合致する。テームズは右アキレス腱断裂で帰国し、スモークも新型コロナウイルスの影響で退団。一方で、首位・阪神にはマルテとサンズ、3位のヤクルトにはオスナサンタナがスタメンに名を連ねる。

「どの球団にも言えることだが、外国人がある程度、機能すれば打線の厚みが増す」と球団関係者。ハイネマンの獲得は、松原聖弥重信慎之介ら若手外野手の競争心もあおる。特に丸佳浩が不調でファームを経験し、梶谷隆幸も負傷で二軍落ちするなど固定できずにいる外野陣の戦力アップが見込まれるだろう。

 坂本、菅野を軸に戦い、メルセデス、サンチェスに、新戦力のハイネマン。原辰徳監督のタクトにもより神通力が加わる巨人が、秋には3年連続の歓喜の瞬間を迎えることができるだろうか。

写真=BBM
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