急がず地に足つけて

チームや選手の状態を見極めつつ、先を見る中嶋監督の巧みなタクトが、堅調な戦いの根底にある
巧みな起用が際立つばかり。今季
オリックスは最大連勝が5ながら最大連敗は4。同一カード3連勝は
ヤクルトとの交流戦(神宮)、前半戦最終カードの
ソフトバンク戦(PayPayドーム)のみながら、3.4月=4、5月=3、6月=6、7月=5の勝ち越し、8月もカード負け越しはない。大きな波をつくることなく、100試合を消化し、貯金は21を数え、リーグ3連覇に突き進んでいる。
エース・
山本由伸、左腕・
宮城大弥、3年目の
山下舜平大に
山崎福也と強固な先発陣が、チーム60勝のうち42勝を稼いでいるのが強みなのは間違いないが、支えているのが12球団最少33失策のバックだ。それも複数ポジションを守る選手が多く、スタメンを固定しない中での堅守。疲労軽減を含めて戦い方の幅を広げるオプションを増やすチーム方針に、選手個々の準備が堅調な戦いの根幹にある。となれば、大崩れしない強さの理由は“出場意欲”を示すナインが生んだものとも言える。
マーウィン・ゴンザレス、
フランク・シュウィンデルの両助っ人が負傷すると
レアンドロ・セデーニョが台頭し、7月に
森友哉が離脱すれば
若月健矢が奮闘。
安達了一、
太田椋と二塁手を欠けば
宜保翔が躍進した。チャンスを与え、結果を残せば起用され続ける。裏を返せば、結果を残さなければ出番は減るということだ。実績組も例外ではない。疲労考慮もあったはずだが、中軸を担う
杉本裕太郎もバットが湿ると8月2日に登録を抹消。12日に昇格も、その間に
野口智哉、
茶野篤政、
渡部遼人とフレッシュな面々が存在感を示した。
戦力が底上げされれば層は厚くなるばかり。森が8月8日に復帰も、就いた位置は右翼。オプションを増やしてきたからこそ、不振や故障者が出ても大崩れすることはない。先を見据えた起用をしながらも、一戦必勝のスタイルを貫くのは
中嶋聡監督の言葉からも分かることでもある。
「目の前のことをやっていかないといけない。一喜一憂せずにしっかり目の前の試合にこだわっていきたい」
目指すはリーグ3連覇なのは確かだが、それは、目の前の試合に集中した先にある“結果”。『全員で勝つ!!』を掲げ、2021、22年に逆転優勝を果たした姿勢は、首位を快走する今季も何ら変わらない。
写真=BBM