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防御率4点台で規定投球届かず…想定外の誤算だった「巨人のエース」は復活できるか

 

試練のシーズンとなった2025年


今季は2ケタ勝利に届かなかった戸郷


 V奪回を狙う巨人は先発陣の整備が最重要課題となる。新戦力の補強に動く可能性があるが、現有戦力が活躍しなければ頂点をつかめない。復活が期待されるのが、エースとしてチームを支えてきた戸郷翔征だ。

 今年は試練のシーズンとなった。オープン戦では4試合で11回を投げて無失点と完ぺきな仕上がりに見えたが、2年連続開幕投手を務めた3月28日のヤクルト戦(東京ドーム)で5回4失点。その後も4月4日の阪神戦(東京ドーム)は3回3失点で今季初黒星、11日の広島戦(マツダ広島)は3回1/3で10失点KOとメッタ打ちを食らい、ファームで再調整となった。

 3週間の調整期間を経て一軍に再昇格したが、投球が安定しない。防御率5点台と再び悪化した6月下旬に2度目のファーム降格。夏場以降は少し持ち直したが、21試合登板で8勝9敗、防御率4.14は納得できる数字に程遠い。111イニングと5年ぶりに規定投球回数に届かず、87奪三振にとどまったのも気になるところだ。短期決戦でも精彩を欠いた。DeNAと対戦したCSファーストステージ第2戦(横浜)。先発登板して初回に5点の援護を受けたが、直後のマウンドで佐野恵太に2ラン、石上泰輝に3ランを浴びてすぐに同点に追いつかれた。3回で早々と降板し、チームは延長11回の末にサヨナラ負けで終戦した。

 入団以来順調に階段を駆け上がってきただけに、初めて味わう大きな挫折かもしれない。高卒2年目の2020年に先発ローテーションに定着して9勝をマークすると、22年から3年連続12勝を挙げ、最多奪三振のタイトルを2度獲得。昨年は5月24日の阪神戦(甲子園)でノーヒットノーランを達成するなど、8、9月で計5勝をマークし、4年ぶりのリーグ優勝に貢献した。

レジェンドOBの指摘


 戸郷が登板する試合は負けられない。チーム全体の共通認識だっただろう。思い描いたパフォーマンスを発揮できず、悩みは深かった。不調の原因として、21年からの4年間で計670イニング以上投げた勤続疲労を懸念する声が上がる。現役時代に巨人のエースとして通算203勝をマークした野球評論家の堀内恒夫氏は、週刊ベースボールのコラムで以下のように指摘していた。

「昨季までの戸郷なら、フォークボールを投げておけば絶対に打たれないという自負があったはずだ。ところが、今季はフォークを投げていても痛打される。自信を持って投げたフォークで空振りが取れないばかりか、バットに当てられてファウルになるか、その反対に見切られてボールになることが多くなった。フォークがハーフスピードでストライクゾーンへ入ってくれば、打ちごろの真っすぐにしか過ぎない。だから、今季の戸郷は打たれるときもフォーク、抑えるときもフォークという両極端な投球になった。フォークを決め球にするピッチャーは、ひとつ間違えれば惨めな結末が待ち構えている。人さし指と中指に挟んで投げるフォークは制御するのが最も難しいボールだ。魅力的であると同時に、危険極まりないボールなのである。だからフォークに頼るピッチャーは、もっとフォークの怖さを自覚しなくてはならない」

「今季の戸郷は投球の組み立てが疎かになった。その理由はフォークに頼り過ぎるあまり、真っすぐを蔑(ないがし)ろにしたからである。投球の基本は真っすぐであることは言うまでもない。昨季の戸郷と今季の戸郷の最も大きな違いは、真っすぐの威力とコントロールが大きく損なわれていたということ。しかも右打者のアウトコース低めが、想定していたよりもはるかに高くなっていたということ。そのほか諸々の理由によって逆球が多くなり、痛打されるケースが増えた」

 今季の巨人で規定投球回数をクリアしたのは、11勝をマークした山崎伊織のみ。戸郷は先発ローテーションの中心で輝いてもらわなければ困る存在だ。この悔しさはもう味わいたくない。再びはい上がれるか。

写真=BBM
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