
この日の菅野はずっと迷いながら投げていたように映った
ものすごい違和感が
意外に思うかもしれないが、実は俺、天気予報が大好きで(ゴルフで天気が気になるのもある)気圧配置も結構詳しい。4月も半ばになり、気温はかなり上がってきたが、時々、寒の戻りがあり、そのとき、いわゆる西高東低、冬型の気圧配置になる。
今のセ・リーグがそうだ。4月11日現在、
阪神、
広島が1、2位と完全な西高東低になっている。新人・
佐藤輝明を起爆剤にし、投打のバランスがいい阪神と、
大瀬良大地、
森下暢仁とローテの表裏で頭を投げる先発投手が好調の広島。どちらもしばらくは大崩れしないだろう。
4月9日にはマツダ広島で、西の雄の一角、広島と、2連覇中の東の雄で、新型コロナでの選手離脱が響きながらも、この時点では2位に踏みとどまっていた
巨人の一戦があった。
先発は広島が大瀬良、巨人が脚部の違和感から復帰した
菅野智之のエース対決。広島が勝利したが、2対0と見応えある投手戦となった……というのは、ファン目線かな。俺は、この日の菅野を見ていて、ついつい投手コーチ目線となっていた。
はっきり言うと、ものすごく違和感があった。コーチ時代であれば、試合後、
原辰徳監督も交えて話し合いをしなきゃいけないレベルだった。
2失点は初回、
菊池涼介、
鈴木誠也のソロで、ほかは無失点だから結果としては悪くないのだが、1球1球を見ると、彼のターゲットライン、要は投げようとイメージするラインにあまり行っていない(であろう)球が多かった。111球、投げたが、納得できたのは20球くらいじゃなかったのかな。
昨年は思い切ってフォームをマイナーチェンジし、120試合制ながら14勝を挙げた。グラブをUの字に動かし、上半身を一度後ろに回してから投げるフォームだ。今年もそれは変わらずやっているが、この日は少し違っていた個所がある。
修正が必要では
9日の投球を見ていると、体が一塁側に流れ、早く開くことで、打者がボールの軌道を見やすくなり、最後、ボールを押し出すようになって球のキレもよくなかった。打者側へのスムーズな体重移動ができていないので、肩に負担が掛かっていたはずだ。
原因の1つは今年から変えたプレート板の一塁側を踏むことじゃないだろうか。菅野はステップする足がオープン気味になるタイプで、三塁側を踏んでいたときはそれでよかったのだが、一塁側に置くことで、体がどうしても一塁側に逃げていきやすくなる。もう1つ、Uの字に動かす両腕だが、この日は、少し回転し過ぎて右肩が詰まっていた。要は右ヒジが背中側に入ってしまい、出がスムーズじゃなかった。上体も前につんのめっていて、狙っているところからボールが1、2個ずれていた。このフォームでは、今季の新兵器になりつつあったタテのカーブがうまく投げられなかったはずだ。
加えて、これは故障明けもあったのかもしれないが、終始迷いながら投げていたように見える。いいときのように、要所でのギアの上げ下げやゲーム中の修正能力が感じられなかった。
もちろん、それでも2回以降はしっかり抑えているし、菅野が素晴らしい投手であることは間違いない。ただ、どこまで本人が把握しているのかは分からないが、一度、映像を見ながらフォームの細かい部分をチェックし直していかないと、勝ち星は増えないし、肩の故障があるかもしれない。お節介かもしれないが、原監督にメールしちゃおうかな。
PROFILE 川口和久/かわぐち・かずひさ●1959年生まれ。鳥取県出身。左投両打。鳥取城北高からデュプロを経てドラフト1位で81年に広島入団。3年目の83年に先発の一角を確保し、86年からは6年連続で2ケタ勝利を挙げた。95年にFAで巨人へ移籍、98年限りで現役引退。巨人のコーチも務めた。通算成績435試合登板、139勝135敗4セーブ、防御率3.38。