カットボール、ツーシームなどメジャー・リーグ発祥の球種が日本プロ野球界でもよく見られるようになったが、変化球にはその時代、その時代の“流行り”が存在する。では、今きている変化球は何なのか? ここでは、“変化球マスター”オリックス・金子千尋に日本プロ野球界最新の変化球の動向を聞いた。 変化が大きくて速さもある球種
流行りというのは、誰かが決めているわけではないですから、変化球の今のトレンドといっても答えるのに難しいところはあります。でも、何かと聞かれたら今はナックルカーブとスプリットではないでしょうか。ちなみに、ナックルカーブだと
ソフトバンクの五十嵐(亮太)さん、ウチの
ディクソン、ソフトバンクのウルフが投げていますね。ただ、ウルフは正確にはナックルカーブではなくて、少し速いスラーブみたいな球種です。
ちなみに、その前に流行っていたのはツーシーム、カットボールという変化の小さい球種。ただ、最近になって投げるピッチャーが増えてきて、バッターも多少慣れてきてしまった。そこで、ナックルカーブ、スプリットという、それよりも変化が大きくて、そこそこスピードのある球種が、今、きているのだと思います。
僕の中での流行りはパワーシンカー。シュートと従来のシンカーの中間ぐらいのボールですね。中間の変化をするボールがあれば面白いなと思って習得したのですが、僕が新しいボールを考えるときに大切にしているのはスピード。バッターが対応しづらいスピードってあると思うんですよ。
例えば140キロのストレートを待っているときに、120キロのスライダーがきたら止まってしまう。スピードは大切ですよ。チェンジアップにしても、遅過ぎてもダメですし、ストレートとの差がなさ過ぎてもダメ。ストレートだと思わせておいて、ボールに当てさせない。どうすれば打者の目をあざむけるか、そういうようなことを常に考えて投げています。ちなみに、僕のパワーシンカーはストレートやシュート(※金子投手の場合はツーシーム)に近い。
一般的にシンカーは空振りを取るイメージがあるかもしれませんが、僕はシンカーで空振りはいりません。だから、多少スピードがあって変化も少なくていいんです。
変化球マスター金子の変化球論
流行っているから、ただその球種を投げれば打ち取れるというわけではなく、大事なのはその使い方。バッターによっても対応できる変化の部類は違いますし、使い方によって結果は違ってきます。例えば、カットボールを見せて、同じ球を投げると思わせておいてカットボールよりも曲がるスライダーを投げたり。僕の場合だとストレートとチェンジアップですね。同じ回転だけどスピードが違うという。自分がこういう変化をさせたいと考えることも大事ですが・・・
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