悲願の甲子園出場を達成した話題の2校を紹介する。茨城県内では強豪と言われながらも、決勝のカベに阻まれ続け、ようやく突破した霞ケ浦。そして、守りを徹底して鍛え、強豪私学を撃破。29年ぶりの切符をつかんだ青森・三沢商。2校の熱い夏はまだ続く。 文=中島大輔 最後はエース・綾部が見逃し三振で甲子園の切符をつかみ取った。6度目の決勝挑戦でようやく悲願達成となった[写真=斎藤豊]
2対0で迎えた茨城大会決勝(対日立一)の9回表、初めての甲子園出場を懸けたマウンドで、背番号1の
綾部翔(3年)は最後まで冷静だった。難なく2アウトを取り、最後の打者をスライダーで空振り三振に仕留めたと思った瞬間、球審が大きなジェスチャーでファウルと判定する。
「真っすぐで行きたいなって首を振りかけたんですけど、スライダーで行こうと思って。それがファウルになって、結果、真っすぐで行けたので良かったなと思います」
外角に投げ込んだ球威ある速球で見逃し三振、ゲームセット。7回から登板した綾部が打者9人を完ぺきに抑え、霞ケ浦は悲願の甲子園出場をついに決めた。
この校名を聞いた全国の高校野球ファンは、すぐに「悲劇」の二文字を思い浮かべるだろう。前年まで2年連続で夏の茨城大会決勝のカベに阻まれ、さかのぼれば過去7年間で5度も甲子園出場まであと1勝のところで屈している。その分厚過ぎるカベを、ようやく突き破ったのだ。
就任15年目にして、春夏通じ初の全国切符をつかんだ高橋祐二監督は、これまでとの違いをこう振り返る。
「今までの先輩たちが感じてきたことをあまり重く感じないで・・・
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