誰からもその才能を認められながら、故障に苦しみ、独り立ちできなかった23歳が、3連覇へ向け、チームをさらに加速させるキーマンとして、若鷹軍団の先発陣の中で中心的な役割を果たしている。進化の過程にいる右腕が、現在の胸の内を語った。 取材・構成=杉浦多夢、写真=湯浅芳昭、内田孝治、川口洋邦 “考える”ということ
──今季は開幕から先発として素晴らしい成績を残していますが、13年にリリーフで活躍していたときから、先発への強いこだわりを口にしていましたね。
千賀 先発投手というのはチームの勝敗を大きく左右します。中継ぎも敗戦処理から抑えまで全部のポジションを経験させてもらうことができましたし、すごくやりがいがありました。毎日試合に関われますし。でも、1試合をしっかり投げるというところにすごく魅力を感じていたので、先発がしたいという思いはずっと持っていました。
──リリーフと先発で、投球の組み立てやアプローチに違いはありますか。
千賀 中継ぎのときは1イニングだけだったので、全力でストライクゾーンに投げることしか考えていませんでした。今みたいに、「こう投げて、ああ投げて……」と試合中に考えることはなかったですね。その部分ではピッチャーとして“考える力”が少しはついたかなと思います。
──“考える”ようになったのはいつごろからですか。
千賀 本当に今年になってから、開幕してからですね。昨年はファームで先発させてもらっても、正直そこまで細かく考えることはなくて。キャッチャーがここに構えた、このボールを要求された、だからそこに投げる。それくらいで。今は、なぜそこに要求されているのか、この場面では何が必要か、そういうことまで考えるようになっています。
これまで、僕はホームランをあまり打たれたことがなかったんです。ところが今シーズン、開幕してからポンポン打たれて。そこから考えるようになりましたね・・・
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