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2021シーズン大展望 開幕投手の誇り

栄光を背負った男たちの歴史 もっとも輝いた開幕投手は誰か――

 

ここでは歴代の開幕投手たちの歴史を振り返っていきたい。果たして、どのような思いを込め、どのような重圧と闘ったのか。

12年連続開幕投手を務めた阪急の山田[最後の86年]


“1球目”の快感


「昔はね、開幕ってプロ野球の華だった。いまよりずっと盛り上がったんだ。あの独特の雰囲気は何度やっても慣れるもんじゃないね。

 それでプレーボールの一瞬だけは球場がシーンとする。打者も1球目は打たない。投手にくれるんだね。それだけの準備をしてきたことを分かってくれているんだろう。

 だから決めていた。1球目は、ど真ん中にストレートを投げ込む。それでミットの音がバシッと球場に響き、アンパイアの手が上がり、ストライクをコールするでしょ。それからワッとお客さんが沸くんだ。あの何とも言えない気持ちよさは、やったもんにしか分からんだろうね」

 日本最多12年連続で開幕投手を務めた阪急(現オリックス)のサブマリン、山田久志の言葉だ。

 初めて20勝以上を達成したのが1971年の22勝、翌72年も20勝したが、71年は米田哲也、72、73年は足立光宏が開幕投手だった。

 最初のチャンスは、上田利治監督になった初年度の74年だった。しかし・・・

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