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女子野球ジャーナル

侍ジャパン女子代表・川端友紀の苦悩

 

不振脱出はもうすぐ

 一番・川端友紀――。

 それは、イーストアストライア・川保麻弥監督の強い決意が表れた新オーダーだった。5月31日、ヴィクトリアシリーズ第8戦、前夜の敗戦を受けて、川保監督は打順を大幅に入れ替えた。不振にあえぐ川端を四番から一番に、一番の厚ヶ瀬美姫を三番に、そして四番には中平千佳を据えたのだ。川端は言う。

「試合直前のオーダー発表のときに知りました。初めは驚いたけど、監督からもらったチャンスだと思って、試合に臨みました」

 試合は、2安打2打点を挙げた川端の活躍もあって、新打線が見事に機能して6対0でアストライアが勝利。対戦成績を5勝5敗の五分に戻し、勝率でノースレイアを上回り再び首位に。試合後、川保監督に「新オーダー」の意図を聞いた。

「今回の打線は『チームのための打線』ではなく、『川端のための打線』でした。不調に苦しむ川端に1打席でも多くチャンスを与えたい。不振脱出の機会をつかんでほしい。そんな思いを込めた打順でした」

 長いシーズンを見据えたとき、目先の1勝よりも、チームの大黒柱である川端の復調こそが、チームにとって大きな利益となる。それは、大局的な視点を踏まえた、川保監督の名采配だった。試合後の川端には久しぶりに笑顔が弾けた。

「私自身、まだ悩んでいますが川保監督が私以上に悩んでくれているし、すごく期待されているということは痛感しています。ぜひ、その期待に応えられるように頑張ります」

▲スランプ脱出へ、試行錯誤を続けるアストライア・川端友紀



 目線のブレを気にして、右足のステップを小さくするフォームに変えたものの、なかなか結果が伴わなかった。現在は前監督の片平晋作氏の指導を仰ぎ、フォームチェックを入念に行っている。この日も第1打席で結果が出ないと、2打席目からは足を上げる高さを微妙に修正した。

 9月1日から始まる第6回ワールドカップの代表候補メンバーでもある川端。侍ジャパン女子代表・マドンナジャパンの中心メンバーでもある川端の復調は、アストライアファンだけではなく、すべての女子野球ファンにとっての願いでもある。

 今は、プロ入り以来最大のスランプかもしれない。しかし、この試行錯誤を経て、不調のトンネルを脱したとき、さらに成長した川端の姿が見られるはずだ。そのときはもう、すぐそこまできている――。(取材・文/長谷川晶一)
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