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第2戦 能見、呉の熱投で阪神勝ち抜け!

 

 2試合で21イニング、広島に一度もホームベースを踏ませることなく、阪神は球団史上初めてクライマックスシリーズ(CS)を勝ち抜くことができた。「バッテリー陣がしっかりと話し合って対策を練ってくれたし、野手陣が強い気持ちを出して守備をしてくれた」と和田監督は安堵の表情を見せた。

▲負ければ終わる重要な先発マウンドを託された広島・大瀬良。好守にも助けられ、7回無失点と貴重な経験を積んだ



 この第2戦、最後は引き分けに終わったが、間違いなく立役者は、エース・能見だった。この日の先発を藤浪と読む関西スポーツ紙もあったくらい、エースの信頼は薄れていた。さらに昨年はこのCSに登板することなく終戦を迎えていただけに、今回も……という予測があったのは事実。またそう思わせるほど今年の投球内容が悪かったのは確かだ。自己ワーストの13敗(9勝)と本調子とは言いがたいシーズンだった。

 しかし、9月から本来の投球を見せ始めていた。指揮官もその様子を感じ、先発を任せたのだ。「緊張はした」というCSのマウンド。無失点に抑えた第1戦の投手陣に続けと、最少失点に抑えればファイナルステージが見えてくる。それでも「頭の中はシンプルに」とマウンドに上がった。

▲阪神先発の能見は8回5安打無失点。7回一死満塁も鈴木誠を三ゴロ、會澤を見逃し三振に斬って取り、ピンチを脱した



 初回からファーストストライクを狙いに来た広島打線を巧みな投球でかわす。その中で真っすぐに重心が乗っていない感覚があった。そしてビッグゲームながら4回から投球フォームを変える決断をした。緊張感の中にその余裕すら持ち合わせていたのだ。そして7回一死二、三塁のピンチ。

 ここで和田監督は「能見なら敬遠させてもきっちり抑えてくれると思った」と満塁策を指示。その期待に応え、まず鈴木誠を三ゴロに仕留めた。そしてハイライトは二死満塁の會澤との対戦。2-2と追い込み「打たれるときは打たれるし、抑えるときは抑えられる。最後は鶴(鶴岡)さんと(サインが)一致した」と開き直り、渾身の142キロの真っすぐを胸元へ。クロスファイアーが決まり、もちろん見逃し三振。珍しくガッツポーズを見せた。

▲一番・菊池、二番・丸のCS仕様オーダーで臨んだ広島だったが、2人が2試合で18打数1安打と機能せず、2試合とも無得点に終わった。写真は無安打だった丸



 能見は8回無失点でマウンドを降りたが、その気迫にチームは乗せられ、得点は奪えなかったものの抑えの呉が3イニング、福原も12回を3人で締め無失点のまま、東京行きを決めた。

▲シーズンでもなかった3イニングを投げた呉昇桓。和田監督も「素晴らしいピッチングだった」と絶賛


▲スコアレスの試合は延長12回表を福原が締めた。対戦成績が並んだ場合、シーズンの上位が次のステージに進むCSルールに則り、12回表が終わった時点でコールドゲームに



 次は巨人とのさらに苦しい戦いが待っている。阪神にとっては初のファイナルで未知の世界。試合後、ロッカーに引き揚げる能見が「がっぷり四つという感じはない。こっちは失うものは何もない」と語ったが、まさしくその気持ちで阪神は東京ドームへ乗り込んでいく。
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