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田中大貴のMonthly Column

田中大貴コラム 『松坂世代』あの夏から21年目の延長戦 「湊川誠隆はいつの日か、必ず中日の指導者として現場に戻るときが来るでしょう」

 

兵庫・小野高、慶大で活躍し、東京六大学リーグ戦では早大・和田毅(ソフトバンク)と真剣勝負を演じた元フジテレビアナウンサーで現スポーツアンカーの田中大貴は、1980年生まれの「松坂世代」の1人。そんな野球人・田中が、同年代の選手たちをプロ野球現場の最前線で取材した至極のエピソードを、コラムにして綴る連載第18回です

慶大時代には3年秋、4年春のシーズンにベストナインを獲得した湊川


野球中継の原点


 いつグラウンドに行っても、先に彼の姿がある。そんな印象です。大学時代もプロの世界に入ってからも、そして引退後も。必ずグラウンドに最も早く向かう人間。今でも変わらないスタイルです。

 元中日ドラゴンズ湊川誠隆

「今日の午前中はナゴヤ球場、午後からナゴヤドーム。二軍と一軍を取材して、夕方からの野球中継に入るよ。大貴も午前中から来たら?(笑)」

 彼とは大学時代のチームメート。今は実況者と解説者という立場で同じマイクの前に向かいプロ野球を伝えるという立場になりました。

「午前中から来たら」は何とも湊川らしい言葉です。中継に挑むにあたり、徹底的に取材する性格。選手よりも早くグラウンドに向かい、彼らを待ち受けて取材を行います。一軍だけではなく二軍もしっかりと取材する。だからこそ選手たちの距離は近い。選手が信頼されているからこそ、彼らの本音を聞き出せるのです。

「現役時代の実績がない僕にとって、やるべきことはただ1つ。選手の声を最大限聞き続けること。時間をかけて現場で取材すること」

 湊川の口から、たびたび聞く言葉です。

 昨年の9月終わり、J-SPORTSからお仕事をいただき、僕は湊川と初めて実況解説のコンビを組みました。中継カードは中日対阪神。ドラゴンズ・岩瀬仁紀投手の1000試合登板という歴史に残る試合でした。岩瀬投手が最終回のマウンドに立ち、1アウトからランナーを一人置いてバッターは阪神の福留孝介。福留選手がドラフト1位、岩瀬投手がドラフト2位という1998年の同期入団対決ということもあり、ナゴヤドームのボルテージは最高潮。マウンドに岩瀬、バッターボックスに福留という中日黄金期を支えてきた対決はドラゴンズファンにとって垂涎(すいぜん)もののシーンでした。

 結果は1ストライクから福留選手がインコースのカットボールを打ちに行き、ファーストゴロ。「詰まった当たりのファーストゴロ」「ビシエドがさばいて2アウト」と僕は実況をしたのを覚えています。

 このときの対決に関して湊川はこんな見解を・・・

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