ここでは本誌に掲載された対談を再録する。まずは、1958年、巨人の黄金新人・長嶋茂雄とのもの。金田は開幕戦で長嶋を4打席4三振に打ち取った。これは、その初対決のあとの対談だ。金田はこの58年、対談前に、通算200勝、8年連続20勝、リーグ新記録の年間10完封、日本新の64回1/3イニング連続無失点と、次々に大記録を打ち立てていた。 セオリーどおりの野球
編集部 金田さんは随分、今シーズン記録を作られましたが、どの記録が一番難しかったですか。
金田 それは連続8年20勝ね、これはちょっと難しいわ。
長嶋 しかも巨人戦で8年連続20勝をやられたわけですね。
金田 すべてに恵まれてるんだね。恵まれ過ぎてるんで怖くなるよ。
長嶋 無失点記録というのをやりましたねえ。あれも苦しいでしょ。
金田 僕は完全試合よりも難しいと思うねえ。完全試合というのはその日のツキでできるよ。でもねえ、無失点というのは偶然にできないですよ。これだけは僕はもう誇りとしているね。今後破られても、自分が64イニングスの記録を作ったという誇りを持ちますよ。長嶋君にガチッとホームランを叩かれて、ためになったことか(笑)。
編集部 開幕以来、金田対長嶋ということは相当、言われましたね。
金田 ああ、(新聞に)書いてくれて済まないな、なんて(笑)。なあ、お互い気にしてないよな。
長嶋 そうですね、別に……。
金田 結局、ジャーナリズムがものすごく書き立てた。で、これによって相当ファンの人が見にきて、どういう結果になるかって好奇心で見られるからということが……とにかく僕は怖かった。これは今だから白状するけど、長嶋君は・・・
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