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2021プロ野球総決算号

奥川恭伸、佐々木朗希、宮城大弥、紅林弘太郎……新時代の幕開けへ 2001年世代の躍動

 

昨季、まばゆいばかりの強烈な輝きを放ったのが高卒2年目、2001年世代だ。ロッテ佐々木朗希ヤクルト奥川恭伸オリックス宮城大弥らが、その才能を早くも開花。球史に名を刻むような世代となる可能性を大いに秘めている。

ロッテ・佐々木朗希


加速度的に成長した令和の怪物&燕の好右腕


 好素材であることは間違いない。だが、これほどまでの活躍は想像できなかった野球ファンは多いだろう。チームの主力として活躍した高卒2年目の選手たちだ。プロ野球はスターたちが結集する世代が存在してきた。古田敦也山本昌渡辺久信池山隆寛ら個性的な選手がそろう「1965年世代」、イチロー中村紀洋小笠原道大松中信彦石井一久三浦大輔ら歴代史上最強世代の呼び声が高い「1973年世代」、昨季限りで現役引退した松坂大輔村田修一藤川球児和田毅杉内俊哉ら松坂世代と形容された「1980年世代」。田中将大坂本勇人前田健太柳田悠岐大野雄大ら現役選手では最強と呼ばれる「1988年世代」も強烈だ。その中で、昨年多くの選手が素質を開花させ、球界の中心軸になりそうなのが「2001年世代」だ。

 底知れない才能のベールを脱いだのが、ロッテの佐々木朗希だ。19年の大船渡高3年時に高校生で日本歴代最速となる163キロを計測した衝撃から2年。プロ1年目の20年は体力づくりに専念したため一、二軍の実戦登板はなかったが、2年目の昨季に5月16日の西武戦(ZOZOマリン)で一軍デビューを飾る。直球は常時150キロを超えたが、変化球の精度に課題が残り5回4失点で降板。

「自分の思うようなピッチングがまだできていないので。うまく表現できないんですが、打たれるべくして打たれているな、というボールなんです。やっぱり真っすぐを3球続ければ、一軍のバッターには打たれる。変化球との組み合わせ、使い方もそうですし、そうするためにも僕自身、真っすぐ、変化球の精度、コントロールを磨いていかないといけない。あらためてマウンドで感じながら、学びましたし、これからもいろいろ学んでいきたいと思っています」と6月に週刊ベースボールのインタビューで課題を口にしていたが、登板を重ねるとフォーク、スライダーの精度が上がり、制球力も改善していく。

 連打を浴びるケースが少なくなり、優勝争いが佳境を迎えると、先発ローテーションの中心に。10月の月間成績は3試合登板で1勝0敗、防御率0.47。19回で27奪三振と圧巻の投球を続ける。クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ初戦・楽天戦(ZOZOマリン)の先発に起用されると、プロ入り後の実戦で最速となる159キロをマークし、6回10奪三振1失点の快投でファイナルステージ進出に導いた。昨季11試合登板で3勝2敗、防御率2.27。コンディションが万全であれば、今季は2ケタ勝利も通過点だろう。

 星稜高のエースで3年夏の甲子園準優勝に大きく貢献し、ドラフト時に「佐々木より完成度は上」と評されたヤクルト・奥川恭伸も飛躍の年になった。佐々木朗の力でねじ伏せる投球と対照的に、奥川の最大の武器は抜群の制球力だ。昨季105イニングを投げて四死球は12個。規定投球回数に達していないが、1試合の与四死球率は1.03と100イニング以上投げたセ・リーグの投手の中で断トツの数値だ。

 スライダー、フォーク、カットボールを正確無比に操り、直球の球威も増したことで痛打を浴びなくなった。特に熾烈(しれつ)な優勝争いが繰り広げられた9月は驚異的な安定感だった。月間成績は3試合登板で3勝0敗、防御率0.45。奥川は好調の要因について、「うーん……。なんですかね。自信ではないです(笑)。ちょっと落ち着きが出てきたかなとは思います。ゲーム中でも、頭を使いながら投げられるようになってきたと思うので。あとは、試合に向けての準備の仕方だったり、そういう試合以外の部分も、少しずつうまくできるようになってきていると思います。良い意味で『慣れ』ですかね」と分析している。

 18試合登板で9勝4敗、防御率3.26の好成績で、巨人とのCSファイナルステージ初戦(神宮)に先発に抜擢され、98球でプロ初完投初完封をマーク。CSで20歳6カ月の完封勝利は史上最年少の快挙だった。チームが20年ぶり6度目の日本一を勝ち取ったことは、今後の野球人生の大きな財産になる。佐々木朗にも言えることだが・・・

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