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廣岡達朗連載「やれ」と言える信念

廣岡達朗コラム「複数年契約は人間を堕落させる。契約システムを見直すべき」

 


 複数年契約をすると人間は堕落する、というのが私の考えだ。

 この考えがどこから来ているかというと、私は1988年から「日米ベースボールサミット」と称する野球の勉強会を日本で3回にわたって開催した。メジャーの球団関係者や元監督も多数招いた。そのときに、アメリカ側から「日本は複数年契約はやるべきではない」と真剣な表情で言われた。

 アメリカは多民族国家だ。そこには、日本にいたら逆立ちしても理解できない、壮絶な差別が存在する。ジャッキー・ロビンソンが象徴するように、黒人選手は差別的仕打ちを受けた。こういう国家において信用を築くには、分厚い契約書が必要になってくる。日本のように、何も言わなくともお互いに相手の気持ちを察する心と心で成り立ってきた社会とは自ずから違うのだ。

 昭和の時代の日本は契約書などなくても、親方が「俺に任せておけ」と言えば、すべてが丸く収まる社会だった。

 ところが、時代が90年代に入ると空気が変わった。球界にも・・・

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