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阿部慎之助 捕手 #10

キャプテンで捕手で主軸で気配りの人

 



 今季も中心にどっしりと座った。阿部慎之助はキャプテン、捕手、そして主軸と重責を担い、2年連続リーグ制覇へと導いた。「日本一連覇を逃し悔しいシーズン。でも、1つの目標に向けて今まで以上にチーム一丸となれた」と充実したコメントを残した。

 日本シリーズは不振に苦しみ、本来の打撃を見せられず「力のなさを痛感した」と自らを責めた。ただ、そこに至るまでは分厚い柱としてチームを支えた。たび重なる故障に襲われながらも、135試合に出場して打率.296。32本塁打、91打点はチームトップだった。リーグ優勝が決まった9月22日の広島戦(東京ドーム)では、右ワキ腹から背中にかけてできた帯状疱疹の痛みに耐え、8回から志願して途中出場。歓喜の瞬間をグラウンドで迎えた。「みんなが何をしないといけないかを分かってきた」と独走での制覇に満足感を漂わせた。“打”だけではなく“守”での存在感も大きい。今季は5年ぶりにゴールデングラブ賞も獲得した。

「捕手は反省の数だけ経験値になるポジション」。ミスを糧に成長し、今季の失策はわずかに1つで12球団トップの守備率.999をマークした。盗塁阻止率も藤井(阪神)に次ぐ.368だった。強いリーダーシップで引っ張り、投手陣に安心感を与えた。それでも阿部は「もっと守備で研究していきたい」と言い、向上心は衰えない。

 中日を退団し、巨人に移籍した井端は入団会見で阿部から電話をもらったことを明らかにし「キャプテンから電話をもらってほっとしています」と言った。何げない気配りも、忘れない。そんな頼りになるキャプテン・阿部が、来季もチームをまとめ上げる。
オーロラビジョン

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