シーズン惨敗、クライマックスシリーズに完敗した後も、体を休めることはなかった。オフに突入しても
鳥谷敬はトレーニングを続けている。「来年2月のキャンプでケガをしない体作りをしたい」。早くも来春キャンプから本番に向けての青写真を描いているのだ。
今季は長打力に欠いたチーム事情で「四番」に座ることもあった。遊撃手としても堅実なフィールディングと勝負強さでチームをけん引。しかし、個人成績は10本塁打、打率.282にとどまって、チームも
巨人に突き放された。
ただ本人が「もっとも意識している」というゴールデングラブ賞は手中に収めた。2年ぶり2度目の受賞に「守備は評価されにくいので素直にうれしい」と喜びを語った。
土の甲子園を本拠にしながらフルイニングに出場、わずか4失策で、守備率も両リーグ最高となる.994だった。
来シーズン3度目の受賞となれば
阪神の遊撃手では
平田勝男現二軍監督以来、3年連続フルイニング出場は2リーグ分立後初の快挙となる。「毎年考えながらやっているつもりだが、成績がついてこないといけない」。来シーズンは名手への挑戦になる。
今季終了直前にはメジャー行きもささやかれたが、FA権を行使せず阪神残留を決めたキャプテン。和田監督も「チームの中心で、来年も鳥谷ありきだ」と軸としての信頼に揺るぎはない。
WBCからスタートした年の締めくくりに鳥谷は「今年は悔しい思いをした。来年こそ、よりチームの勝利に貢献できるプレーを数多くお見せしたい」と静かに闘志を燃やしている。