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加藤康介 投手 #63

苦労人はチームに欠かせない存在に

 



 新しいシーズンを乗り切るためのキーマンの1人がこの男だ。加藤康介。韓国のセーブ王だった呉昇桓阪神入りで、リリーフ陣のそれぞれの役割がより鮮明になるからだ。「気持ちだけは負けないつもりです。前を向いていれば絶対にいいことがあると思っている。とにかく食い下がっていきたい」

 ロッテを皮切りにスタートした野球人生はオリックス、横浜と渡り歩いて阪神で4球団目だ。故障と2度の戦力外の屈辱を味わっただけに精神的なタフさが苦労人を支える。

 13年シーズンは自己最多61試合に登板した。16ホールドを挙げ、防御率も1.97の好成績。阪神移籍2年目の12年は敗戦処理が目立ったが、勝ちパターンのリリーフとして貴重だった。本人は「もっと何かできた」と振り返るが、プロ初セーブ、4年ぶり勝ち星など、めまぐるしかった。

 もっともインパクトがあったのは、8月31日の広島戦(甲子園)だ。1点リードの8回に登板し、丸、キラ、梵を3者連続三振に斬って取った。藤浪の10勝目をアシストし、初のお立ち台で「つらいときを思い出した」と涙を流した。

 1978年生まれで「年男」としてシーズンを迎える加藤は「不安だらけ」と打ち明ける。しかし、先発ピッチャーの実績と枚数に欠けるチームの傾向にあって、リリーフ加藤の存在はさらにクローズアップされるはずだ。

「まずリーグ優勝、そのあと日本一になれるように。オフに良い準備をしてシーズンを迎えたいと思っている」

 加藤は気を引き締めながら、きたるべき年男のシーズンに立ち向かう覚悟だ。
オーロラビジョン

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