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一岡竜司 投手 #30

確かな自信を得て、新天地で花咲かせる

 



 一岡竜司は真新しい背番号30のユニフォームにソデを通し、満面の笑みを浮かべた。巨人にFA移籍した大竹寛の人的補償として加入。1月7日、入団会見で威勢のいい誓いを立てた。「FAのせいで来た、という思いはない。大竹さんみたいな実力、実績を積み上げていきたい」

 昨年のクリスマスイブに巨人から移籍を告げられた。退寮して引っ越したばかりの横浜市の新居は、わずか2週間で引き払った。「僕を選んでくれた広島に感謝したい。このチャンスをつかみたい」。転機を好機と考えている。

 2012年にドラフト3位で巨人入団。過去2年間は一軍13試合登板で未勝利だが、二軍では1年目に14セーブ、防御率0.55。2年目は15セーブ、防御率1.10と圧巻の好成績を挙げ、最速150キロの速球とフォークを武器に潜在能力の高さを証明していた。

 秋には先発挑戦を見据え、カットボール習得にも着手。プエルトリコのウインター・リーグに参加し、3試合で2勝、防御率1点台と結果を出した。右足首のねん挫で滞在期間を短縮せざるを得なかったとはいえ、確かな自信を手にして帰国した矢先の移籍だった。

 入団会見を終えると、すぐさま合同自主トレ地の鹿児島へ。「僕は球威任せな投球になることがある。杉内さんは技を持っているので、学びたい」。明確な意図を持って、巨人・杉内に弟子入りした。

 首脳陣は春季キャンプで先発か中継ぎかの適性を見極める方針。「先発でも中継ぎでも敗戦処理でも、『ここで』と言われたら、どこでもうれしい。一軍の戦力になりたい」と気合十分だ。まだ23歳。数年後、巨人が泣き、広島が笑っている可能性は十分ある。
オーロラビジョン

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