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中田翔 内野手 #6

昨季の無念を胸にタイトル総取り宣言

 



 やんちゃな見た目どおり、子どものように欲張りだ。成熟の7年目を迎えた中田翔が、年明け早々にビッグマウスを炸裂させた。1月に千葉市内で行われた親会社の商品展示会で、ファンとの交流の中で「取れそうな部門はすべて取るくらいの気持ちでやらないとタイトルには届かない」と高らかに宣言。打撃部門含め、総なめを狙うと約束した。

 痛恨の思いがある。開幕から順調に本塁打王へ突き進んでいた昨季は、悪夢に見舞われた。8月に死球で左手第5中手骨を骨折して離脱した。最佳境でカムバックして28本塁打。チームメートのアブレイユに3本差でタイトルを逃した。不慮の故障さえなければ……。周囲の誰もが、そう思うほど順調だった。簡単には受け入れがたい、やり切れなさが残った。

 四番の宿命を知るだけに、ほかにもジレンマが重なった。個人成績は本塁打だけではなく、打率も自身初の3割超とキャリアハイをマークしたが、チームは最下位に沈んだ。中田が入団してから初の屈辱的な低迷だった。打線の屋台骨を背負って奮闘したが、むなしさに打ちひしがれた。今季は「優勝したい」と使命感に燃え、チーム成績に個人成績を反映させる働きを肝に銘じている。

 有言実行の予感は十分だ。3月4日時点、キャンプからの実戦で計4本塁打を放ち、チームトップと量産している。栗山監督が「まだ調子が良いという感じはしない」という状態ながら、狙い球を一振りで仕留めるなど精度は上がっている。オフには恒例の肉体改造を敢行して、さらにパワーも上積みした。中田は「まだまだ、これから」と勝負本番へ爪を研ぐ。スラッガーは雪辱の球春を待つ。
オーロラビジョン

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