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坂口智隆外野手・元祖オリックスの切り込み隊長

 



 久しぶりの感覚に戸惑いを感じながらもその顔は充実していた。2013年8月3日、ロッテ戦(ほっと神戸)以来の定位置に「打順がどこであろうが自分のやることは変わらない。でも、何年ぶりかな」と笑顔を見せた。元祖オリックスの斬り込み隊長・坂口智隆。開幕から不振続きのチームは流れを変えるため4月11日の楽天戦(コボスタ宮城)で坂口を一番で起用した。

 エース・金子、岸田、比嘉、平野佳、ブランコとケガ人が続出する中、優勝候補と言われた森脇オリックスは苦しんだ。開幕から他球団との対戦が一回り終わり2勝12敗1分け。阪急時代の1959年以来の開幕5カード負け越し。しかし、昨年までキャプテン、選手会長を務めた男は自分を見失うことはなかった。開幕スタメンこそ逃しはしたが、打撃陣が絶不調の中でも打率2割後半をキープしチームを引っ張っている。

 毎年のように春先に調子が上がらず「スロースターター」という不名誉な代名詞がつきまとった。2012年に右肩を故障してからは本来の打撃も影を潜めていた。背水の陣となった15年。春季キャンプから「結果を出さないと試合に出られない。毎日が必死」と若手が驚くほどに体をいじめ抜いた。

 今季は坂口を含め糸井、平野恵、ヘルマン、駿太、川端と6人の選手が一番を打つ(4月16日現在)日替わり打線。頼みの綱だったヘルマンも右太モモ裏肉離れで9日に抹消。森脇監督も「現状の戦力でやっていくしかない」と我慢のシーズンが続いている。11年には144試合に出場し最多安打の175安打を放った坂口。今季プロ13年目、窮地のチームを救い流れを変える男になるはずだ。
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