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風張蓮投手・悔しいデビューも未来への糧に

 



 衝撃的なデビュー戦になってしまった。5月3日の広島戦。満員御礼の神宮球場のマウンドに上がったドラフト2位・風張蓮の晴れ舞台は、わずか8球で“強制終了”となった。

 初回。先頭の田中を144キロの直球で遊ゴロに仕留めたが、続く菊池に投じた初球・122キロのスライダーがスッポ抜け左側頭部を直撃。菊池が担架で運ばれる傍ら、頬をこわばらせた風張に危険球退場が宣告された。「大きめに抜けてしまった。自分のミスです。反省するべき点は今後にしっかり生かしていきたい」と風張。登板機会がないため翌日には出場選手登録を抹消され、心機一転、二軍で鍛錬に励む姿があった。

 わずか8球――。新人投手の先発での初登板危険球退場は史上初の珍事だったが、首脳陣の風張への期待はむしろ高まったと言っていい。降板後「まだ待っているから。気にするな」と声をかけたという高津投手コーチは評価を口にする。

「本人も消化不良だったと思うが、ブルペンでは緩急も使えているし、制球もいい印象を持った。試合を作ってくれる能力はある。これを糧に成長してほしい」

 伊保内高時代は全国大会とは無縁の存在だったが、東農大北海道オホーツクで腕を磨きドラフト2位で入団。1月の新人合同自主トレで右足の張りを訴えるなど故障から出遅れたが、二軍で実戦を重ね実力を発揮してきた。最速151キロを誇る直球のキレが持ち味のルーキー右腕は、将来先発ローテを担う存在として期待される。「先は長いので前を向いてやってほしい」と真中監督。デビュー戦もいつか、剛腕を語る勇猛なエピソードへと変わるはずだ。
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