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谷元圭介投手・ハードワークの接戦勝利への使者

 



 荒れたマウンドが出番になる。試合の序盤、中盤、終盤を問わず、お呼びがかかる。中継ぎ陣のキーマンが、谷元圭介だ。5月12日現在で今季16試合登板。防御率3.94と苦しんでいるが、数字だけでは計れない価値を放っている。「大体、自分が登板するタイミングは分かってきた。それに応じて準備するだけ」とサラリと語る仕事は、難役極まりない。

 小差のリード、ビハインドで投入されるのが仕事だ。絶体絶命のピンチに指名され、時に優位な試合展開では序盤からロングリリーフを務めることもある。イニングまたぎなど、過酷な任務が常。主導権があるケースは試合の流れを渡さず、反対のケースでは逆転への流れをつくる。栗山監督が「谷元がいるから、思い切っていける」と、大胆な継投策に打って出る際の判断材料になっている。

 昨季、確固たる立場を築いた。52試合登板で、計68回が1試合1イニングではない。通常の勝ちパターンの中継ぎ投手ではないことを物語る。防御率1.69と驚異的な数字を残す抜群の安定感で、首脳陣とチームメートの信頼をつかんだ。かつては先発への転向希望を強く持ち、中継ぎとの「二刀流」で過ごしたシーズンもあったが、持ち場が固定された。谷元も意気に感じ、全うする覚悟で臨んでいる。

 ある意味、別種の「勝利の方程式」を担う。劣勢の展開でも、谷元がコールされれば、その一戦を勝ちにいくという機運が盛り上がるという。ベンチワークの肝としても機能している。今季は開幕から昨季のセットアッパーのクロッタが不調で、厳しい場面の連続だ。身長167センチの大きな柱が、唯一無二の光を放つ。
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