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杉谷拳士内野手・チームNo.1エンターテイナー

 



 日本ハムの試合前に1つの風物詩がある。チームNo.1のエンターテイナー杉谷拳士が、主役を張る。毎試合、栗山監督がベンチに腰掛け、報道陣に対して時間をかけて取材対応をするルーティンがある。そこに杉谷が登場して絶妙の掛け合いを展開する。

「監督、元気ですか? 僕は元気です。今日のキーマンなので頑張ります」。指揮官も、しばしば絶句する。「よく自分で言えるよね」。

 時には「さわやかですよ、僕!」と訴え掛けると「おめでとう……」と、絶妙な切り返しが待っている。心身に負担がかかる激務を務める栗山監督の癒やしの素になっているのが、今季6年目のムードメーカーだ。

 本業のプレーでもハッスルの連続で、機運を上げるのが役目だ。チーム内ではただ1人のスイッチヒッター。登録は内野手だが、外野もこなせる万能ぶりで唯一無二の存在だ。レギュラーには一歩及ばない立場にいるが、故障者などアクシデントが発生すれば出番がくる。「試合に出してもらえたところで結果を出していく。それで認めてもらうしかない」。出場機会は安定しないが、シーズン中に何度もできる穴を埋めながら、悲願の定位置奪取を目指す。5月中旬に田中賢、岡が負傷したため、レギュラーでの起用が続く。

 試合中のベンチでも、威圧感たっぷりの先輩の中田に積極的に絡むなど、独特の和を生み出す貴重な存在だ。ソフトバンクにFA移籍した鶴岡が担っていた「いじられキャラ」を継承し、一体感をつくる。一塁へのヘッドスライディングなど常にガッツあふれるプレーで鼓舞。誰からも愛される杉谷の個性が、好調を維持する若手主体のチームの隠し味だ。
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