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成瀬善久投手・チームが勝つための投球を

 



 久しぶりに勝利の美酒を味わった。5月28日の日本ハム戦(神宮)。成瀬善久はキレのある直球とスライダー、チェンジアップを低めに集め、7回まで無失点。球数が120球を超えた8回に崩れたが、それでも7回1/3を10安打4失点(自責2)に抑える粘投で2勝目。「勝つのがこんなにしんどいものなのかと思いました」。3月31日の阪神戦(神宮)以来、2カ月ぶりの白星を挙げた。

 これまで好投しながらも、なかなか勝てない日々が続いていた。4月に登板した3試合は、全て6回3失点以内に抑えるクオリティースタートだったが、味方の援護がなく3連敗。5月に入っても悪い流れは止まらず、自身5連敗を喫した。原因は下位打線に浴びる本塁打。上位打線を抑えた後に、フッと集中が切れたところで生命線の制球が甘くなり、一発を浴びる場面を繰り返した。

 そんな左腕に転機が訪れたのは、5月21日のDeNA戦(神宮)。6回途中3失点だったが、その後に味方が追いつき、最後はサヨナラでチームに勝ちがついた。決して内容が良かったわけではないが、「自分の中で流れが変わりました。これで勢いに乗っていけると思いました」。それまでは自分が抑えることばかりを考えていたが「たとえ自分が打たれてもチームに勝ちがつけばいい」と吹っ切れることができた。キレのある直球で強気に攻める本来の投球が復活した。

 5月14日には母校・横浜高の渡辺元智監督が勇退を発表。「渡辺監督、小倉部長がいたからプロになることができた。すごく残念ですけど、一軍で活躍する姿を見せることが、僕たちOBの役目だと思っています」と気持ちを新たにした。成瀬の逆襲はこれからだ。
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