週刊ベースボールONLINE

オーロラビジョン

井口資仁内野手・背中で語る最年長

 



 別格の存在感がある。チーム最年長の井口資仁の年齢は40歳。打の中心選手としてだけでなく、まさに精神的支柱と言っていい存在だ。

 黙々と自らの仕事に徹する姿を見ていると、論語の「四十にして惑わず」との節を思い出す。アップに始まり、親子ほど年の離れた若手たちに交じってすべてのメニューをこなすことを日課としている。ダイエー時代から知る立花打撃コーチは「常に変わらず、やるべきことをやり続ける。あの年齢なので普通にやることだけでも大変なのに、それをまったく表に出すことがない。そういった姿は若い選手にとってこれ以上ないお手本になっている」と話す。

 昨季終盤から右手の中指、薬指、小指の3本と痛みと闘っている。「これはずっと付き合っていくしかない」と井口。原因ははっきりとしないが、恐らく勤続疲労も理由だろう。今季はスタメンから外れ、代打で起用されることも目立っている。それでも「しっかり準備をするだけ」と生活リズムやスタイルが変わることは一切ない。2月の石垣島キャンプは二軍スタートだったが、伊東監督は「下で黙々とすべてのメニューをこなす姿には頭が下がった。さすがだね」と振り返る。

 井口を“生きる教材”としている後輩たちは多い。6月11日時点でパ・リーグの打率3位に入っている清田も弟子のひとりだ。12年から志願して1月の沖縄の自主トレメンバーに入れてもらった。「練習量がすごい。プロで長く活躍できる人はここまでやっているんだ、というのを毎年学ばせてもらっている」。球場では決して口数が多い方ではない。だが、語らずとも常にメッセージを発信し続ける。
オーロラビジョン

オーロラビジョン

週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング