走塁面における
鳥谷敬のチームへの貢献度は、何も盗塁数にとどまらない。記録に表れないシチュエーションでも、相手に走塁でプレッシャーをかけ続けている。
それは13年目のシーズンに掲げたテーマでもあった。
「もう1度スピードを上げたい」
その言葉には速く走るだけでなく、プレーのなかで俊敏性を高める意味も含んでいる。
鳥谷本人は「今さら足が速くなるとは思っていない」と前置きしながら、「でも自分の思っているスピードでは走れている気がする」と衰えは感じていない。
つまり、まだまだ伸びシロがあると踏んでいるようだ。春先の自主トレーニングから短距離走の本数にこだわりながら磨きをかけてきた、アグレッシブな走塁は健在だ。
また、個人の盗塁数もチームトップを堅持している(8月11日現在12盗塁)。実際、鳥谷の盗塁成功率の自己ベストは11年の.842だが、今シーズンはそれをさらに上回る数字をあげているのだ。
12年開幕から続けてきた連続試合全イニング出場は667試合でストップしたが、9試合ぶりに先発復帰した8月3日の
DeNA戦(横浜)からは攻守に安定したプレーを見せるようになった。
鳥谷は「これからもチームが勝つためにできることをやるだけ」というスタンスに変わりはない。キャプテンが常に前を狙う姿勢で引っ張る姿が、若手の多いこのチームに与える影響は大きい。