ここ数年、『代打の切り札』の不在が続く中、今季、存在感を示しているのが
上本達之だ。昨季は6試合14打席の出場に留まり、打率.154。「守備(捕手)より打撃に期待されている選手」と自認するだけに、プロ14年目は並々ならぬ覚悟のシーズンとなっている。
不成績のショックから、昨年は12月から異例の振り込みを敢行。キャリア最高成績を残した2010年を振り返り、「たぶん一番基本に近い形で打っていた」ことに気付いた。奇しくも、その年以来となるキャンプB班スタートも重なり、「じっくりと自分のために時間を割きたい」と高知で若手に交じり、練習に没頭する日々を送った。
それが奏功したと言っていい。開幕一軍を勝ち取ると、一度も二軍に降格することなく、ここまで主に代打として「ここ一番」の場面で起用されている。この2、3年、代打での起用が増え、先発時との差を感じている。
「4打席あると、相手バッテリーにいろいろなことをされる。でも、それがない分、1打席の中で、数少ない甘い球を、一発で仕留められないと」
8月18日現在、打率.291をマークし、7月29日の
オリックス戦(京セラドーム)では、3年ぶりに本塁打を放ち、ここ数年で最高状態にあることを証明している。
「本当に切羽詰まってのシーズン。日々、次の月の“一軍手形”を得るために、とにかく必死なんです」
試合外でも、後輩たちから「良き相談相手」として信頼は厚い。背番号49の存在感は大きい。