ゆっくりと腰を上げ、
ラミレス監督が球審に「カガ」と告げる。
DeNAですっかり定番化した継投だ。特に得点圏、外国人の右打者を迎えた場面で有効。どん底からはい上がり、
加賀繁が表舞台へ戻ってきた。昨年は9試合で防御率7.88。今季も右ヒジ痛などに苦しみ、一軍昇格は7月11日だった。
「僕の立場は本当に1年1年が勝負。とにかく結果を出すしかないですからね……」
プロ7年目の31歳。若手の台頭を感じながら、ファームでも準備だけは怠らなかった。初登板は同日の
中日戦(横浜)。1回2失点の結果に二軍降格も覚悟した。ところが、ラミレス監督は翌12日も起用。打者2人に1四球は与えたが、エルナンデスを左飛に仕留めた。
「顔も見たくないよ……」
12年、13年は7打数無安打、一昨年も2打数無安打。今年も1打数無安打と完璧に抑えられているのは
ヤクルト・
バレンティンだ。球界を代表する長距離砲はかつて、独特の表現でサイド右腕を認めたことがある。直球、スライダーが軸。中畑前監督も「外国人キラー」として重宝した。2対0で完封勝ちした7月28日の中日戦(ナゴヤドーム)でも持ち味を発揮。1対0の6回二死一塁で、
ビシエド1人を遊飛に料理した。左打者への対策は課題だが、
阪神・ゴメス、
広島・ルナ、ビシエドの3人にも計5打数無安打。防御率(6.00)では測れない勝ちがある。謙虚で味のある働き。初のCS進出へ、実は最も欠かせない1人だ。