もどかしい思いを抱えながらも「事実上」のエースとして、優勝争いへと身を投じている。昨季の新人王・
有原航平が絶対的な信頼を積み上げた。8月25日時点で直近の登板4試合では白星から見放されているが、すでにルーキーイヤーの1年目の8勝を超える2ケタの10勝をマーク。コンディション不良で登板を回避している大谷を上回るチームの勝ち頭として、4年ぶりペナント奪回の旗手として躍動中だ。
一途な思いが進撃を支えている。
「とにかくチームの勝利に貢献できるように」
昨季はアマ時代から引きずる右ヒジ痛の不安から開幕一軍は見送られ、5月から即戦力との評判どおりに先発ローテに加わった。白星には恵まれたが、防御率は4.79。150キロ超の剛球を持つが、課題は制球力の精度の低さ。早大時代などは力勝負でも通用したが、プロの厳しさを痛感した。ステップアップを期して臨んだのが今季だった。
昨オフも苦手なトレーニングに着手。変化球もスライダーとフォークのほか、キレあるカットボールを多投することで活路を切り開いた。球宴明けからは
ソフトバンク戦に3カード連続で3連戦初戦に登板。大黒柱としての起用に、栗山監督ら首脳陣の高い評価が透けて見える。勝ち切れていない現状はあるが「勝たないといけない。何とかしたい」と、立て直しに必死だ。重圧の中で守り抜くマウンドに、また有原が成長するためのヒントが隠されている。