週刊ベースボールONLINE

オーロラビジョン

ソフトバンク 和田毅投手・上位対決で魅せた自力

 



 勝利数2ケタを「最低ライン」とした以外、数字の目標は公言していない。米国でトミー・ジョン手術にマイナー暮らし、メジャーの舞台も経験して、5年ぶりに古巣に戻って送る日本球界復帰イヤー。ただし和田毅は「シーズンを通した先発ローテ死守」だけははっきりと口にし、公約にしてきた。果たして、3月29日の本拠地開幕戦から5カ月超。強力先発陣の軸であり続け、意気込みはハーラーダービーをリードする勝利数になって表れている。

 7月末から8月いっぱい、上位との直接対決ばかりの5週間が圧巻だった。日本ハム、日本ハム、ロッテ、日本ハム、ロッテ。相手先発も同じで有原、有原、石川、有原、石川との投げ合いだった。折しもチームの打撃陣は下降線。急失速で2位・日本ハムに猛追を許す状況の中、4勝1敗で乗り切った。その間7回が1試合、残る4試合が8回。5試合で防御率1.85の数字は自力で勝利をもぎとった痕跡をうかがわせる。

 前半戦を防御率3点台でターン。監督推薦での球宴出場には「こんな成績で選ばれると思っていなかった」と苦笑した。それは自負と意地の裏返しで、若手投手が息切れするのを横目に、夏場に防御率は良化の一途をたどった。「前半戦は若いピッチャーが頑張った。その分、自分が頑張れれば」との思いもあった。もう一つ、開幕前から公言している目標がある。これも数字ではなく「チームの日本一」。そのために帰ってきた。
オーロラビジョン

オーロラビジョン

週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング