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ソフトバンク 森福允彦投手・“左キラー”という使命を全うする

 



 やり返した。9月19日、本拠地でのオリックス戦、1点ビハインドの7回。二死二塁のピンチで打席に好調ルーキー・吉田正を迎え、ベンチは先発の中田から森福允彦にスイッチした。全球直球。外角に4球続け、5球目は懐へ。どん詰まりの二ゴロでピンチを脱した。10日前の敵地。同点の8回、代わりばなで甘く入ったスライダーを右翼ポール際への決勝ソロにされた相手へのリベンジだった。

 2011年からシーズン60試合前後の登板を重ねてきた左腕が、工藤監督就任1年目の昨季は32試合登板にとどまった。

「1年間、楽しんでやれる部分が少なかった。狙ったところでボールになって、腕を振らずにコントロールしようとする、自信のない自分がいた」

 チームの2年連続日本一の裏で、9月以降は登板がなく、事実上、今季に向けた強化に取り組んだ。フェニックス・リーグにフル参加。秋季キャンプで工藤監督の方針から取り組んだ体幹トレを継続した。

 一つ、意識したのが「左打者のインコースを突くこと」だった。まず左殺しの任を全うすることが、復活への足掛かりと自覚した。

 開幕からコンスタントに出番があった。チームが苦しんだ後半戦、走者を背負った状態での切り札を担った。吉田正に決勝弾を浴びた9月9日は、実に5連投で4日連続の登板。そこでついに喫した今季初黒星だった。登板数は2年ぶりの40試合台。8月には国内FA権も取得した。プロ10年目は、あらゆる意味での転換点になった。
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