6試合、3試合、8試合。これは
吉見一起が昨季までの3シーズンで投げたゲーム数だ。トミー・ジョン手術を含め、何度もメスを入れてきた右ヒジの状態は一進一退。それでも、今季「20試合登板」を目標に掲げて、それをクリアした。
「とにかくゲームを投げていくこと。中9日だったり、チームには迷惑を懸けるかもしれません。試合をつくることをしっかりやっていきたいと思います」
開幕当初の優先事項はケガをせず、イニングを重ねること。白星とは無縁のピッチャーとして、スコアボードに「0」を重ねた。
投げるたびに、かつての感覚を取り戻し、勝負師としての闘争本能が蘇る。いつしか「勝ちたい」と口にするようになり、白星もついてくるようになった。
目標の20試合をクリアしたのは9月14日の
巨人戦(ナゴヤドーム)。宿敵のエース・菅野と投げ合った。7回1/3を投げて4失点。チームは中継ぎ陣の奮闘などもあり、勝利を収めた。
「1年間できたということは自分を褒めてあげたいです」
右ヒジを投げられる状態へ仕上げるだけでもひと苦労。休みを返上し、愛知県内外で治療を積み重ねる。
同7日の
広島戦(マツダ広島)では優勝へと突き進む赤ヘル軍団と対戦し、敗戦。
「まだまだ、引き出しが足りないと思いました」
成長の苦しさも喜びも知っている。うまくなりたい──。貪欲に、新たなステージを目指していく。