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オリックス 安達了一内野手・ナインに勇気を与えた“奮起”

 



 病と闘いながらもシーズンを走り切った。今年1月に厚労省から難病指定されている潰瘍性大腸炎を発症。入院生活を強いられ、春季キャンプは参加できなかった。安倍首相も発症し、第一次政権からの退陣を余儀なくされた不治の病。早くても復帰は5月と言われていた。絶対的な遊撃手の不在はチームに激震を与えた。代役を中島、縞田、大城らが務めたが、うまく機能せず、チームは春先から負けが込んだ。

 そんな中、予定より早く背番号3が帰ってきた。4月12日の日本ハム戦(京セラドーム)。「こんなに早く復帰できるとは」と本人も驚く回復を見せ、いきなりマルチ安打と活躍した。温かい声援を全身で浴びた安達は「泣きそうになった」と感慨深そうに話した。しかし本当の戦いはここからだった。

 体調は常に流動的。その日の朝まで分からない。前日がナイターのデーゲームの日は特に厳しく、欠場せざるを得なかった。長距離の移動ではいつトイレに行きたくなるか分からないため、チームとは別にタクシーや電車を利用した。試合直前に体調を崩し、急きょ欠場ということもあった。大変という一言では語り切れないぐらい、本当に厳しい戦いを強いられた。そんな中でも安達は弱音を吐かず、シーズンを完走。華麗な守備で何度もピンチを救ったことに加え、7月には自身初となる月間MVPも獲得。安達の奮闘ぶりは、最下位のチームにおいて、大きな光となった。
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