表舞台から遠ざかっている現実と向き合い、
林昌範は真剣な表情で切り出した。
「自分の立場はよく分かってるつもりなので。チャンスをもらうために何が必要なのか。結果しかないですからね」
今の居場所は二軍。プロとして、もちろん納得はしていない。
「ここ2年、まったくチームの力になっていない。申し訳ない気持ちしかありません。でも、今年に関してはいい感覚があります」
2月の沖縄・嘉手納キャンプでつかんだ手応え。186センチの長身から投げ下ろす直球に、全盛期に近いようなキレが戻ってきた。
巨人、
日本ハムで優勝や日本一を経験。通算421試合に登板してきた、33歳。背水の陣を敷き、かつてない危機感で取り組んでいる。
戦力外通告を経て
DeNAに加わったのが2012年だった。「僕を拾ってくれた球団、高田GMや中畑監督に恩返しをしないといけない」と心に誓った14年は56試合に登板。ブルペンに欠かせない存在になった。同年オフはFA権を行使せず「横浜で優勝したい」と3年契約で残留。球団から安定した活躍を見込まれながら、そこからが苦しかった。24試合の登板にとどまった15年8月には左ヒジをクリーニング手術。昨年は一軍出場がなかった。自身が不在の間、同じ左の中継ぎでは田中健が急成長。守護神の山𥔎康、三上ら若い力がチームを支えるようになった。
「結果がすべてなので……」
契約最終年。復権を信じ、静かにチャンスを待つ。