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ソフトバンク 中村晃外野手・自分の役割、自分のスイングを貫く

 


 三番・柳田、四番・内川、そして五番・デスパイネ。強力さを増した今季クリーンアップのすぐ後ろ、六番を任されるのがプロ10年目の中村晃だ。幾多の打者との対戦を経験してきた工藤監督が器用さを認め、ゆえに上位から下位までチーム事情に合わせてさまざまな役割を任せてきた。中村晃の打順、イコール打線のポイント。今季は塁上に残った走者をかえしつつ、七番・松田へつないで大量得点の呼び水となる役割が期待されている。

 とにかく打撃がシュアだ。オープン戦での打率.370は2位。打つことはもちろん選球眼が持ち味で、出塁率.469はトップだった。「オープン戦なので」と、この時期の結果には目もくれなかったが、内容には納得がいっていた。状況への対応力に優れる。進塁打でいたずらにアウトカウントを増やさない。とにかく1点が欲しい場面での犠飛。打ち気を殺して四球でつなげるのは、よく言う自己犠牲心などではなく、そのことに心から価値を見いだしているからだ。

 そこに今季は長打への欲が加わった。春季キャンプからとにかくゴロを打たなかった。実際、フリー打撃の最初から最後までフライかライナーで通した日もある。

「センターにフライを打つイメージ。追い込まれるまでは、常に自分のスイングをする」

 コースなりに打ち分けるのではなく、意識を中堅方向への強い打球に集約した。昨季4年ぶりに逃した打率3割には、実はこだわっていない。興味は「次の段階」にあると言う。
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