再び一軍のマウンドへ――。執念を胸に、岩隈久志は己との戦いを続ける。球団を通じ、個人調整期間の順調な回復ぶりを語った。
「違和感なく投げられています。こうして練習環境を与えてくださり、感謝しています。開幕がコロナで遅れてしまい、大変な期間になっていると思いますが、とにかく、僕は自分の状態を上げるために日々を過ごしています」
昨季、MLBのシアトル・マリナーズから8年ぶりに日本球界に復帰。しかし、右肩のリハビリが続き、実戦復帰後は二軍でも2試合の登板にとどまった。オフには右鼠径(そけい)ヘルニアの手術も受けている。「野球人生の中でも一番早い(と感じる)1年だった。優勝してチームの輪に入らなかった悔しさはすごくあります」と振り返った。
崖っぷちに立たされたが、日米通算170勝右腕はこのまま終われない。4月30日はブルペンで40球を投げ込み、絶妙の制球力で周囲をうならせた。見守った
水野雄仁投手巡回コーチも「一つひとつ階段を上がっているというイメージ。開幕が遅れていることが岩隈にとってプラス。今年こそは復活に期待したい」と話した。同日には新型コロナウイルス感染の最前線で闘う医療従事者を支援するため、1000万円を東京都に寄付したことも発表された。出口の見えない状況ではあるが、右腕はグラウンド内外で、ベストを尽くしてシーズン開幕を待つ。
写真=読売巨人軍提供