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楽天・安樂智大 再び脚光を浴びるために/甲子園のヒーローは今

 

ようやく本領発揮の時を迎えている


 まばゆいカクテル光線と、その陰。安樂智大のこれまでの野球人生はナイターゲームのように、明暗が分かれた。まずスポットライトを浴びたのは、愛媛・済美高時代だった。2年時には150キロを超える直球を武器に、2013年春のセンバツで準優勝。同夏には甲子園での高校2年生最速となる155キロをマークして聖地を沸かせた。15年にドラフト1位で楽天に入団した。

 身長186センチの剛腕は、プロでは思うような結果を残せなかった。右肩痛など何度も故障に悩まされ、19年秋には右ヒジのクリーニング手術に踏み切った。「投げられない不安がある」。思い、悩む日々が続いた。

 それでも、右腕はめげなかった。地道なリハビリに耐えて迎えた今季。「先発でも中継ぎでも、どこでもやる」と不退転の決意を持って臨んだ。前半戦終了時まで、主に中継ぎで31試合に登板し3勝0敗11ホールド、防御率1.11。リリーフ陣を支える屋台骨となっている。

 本拠地のファンから大きな拍手が送られたのが、4月11日のソフトバンク戦(楽天生命パーク)だった。0対1の6回。二死一、二塁のピンチでマウンドへ。デスパイネには四球を与えたが、中村晃をチェンジアップで空振り三振。回をまたぎ7回もマウンドに上がると松田宣浩甲斐拓也周東佑京を空振り三振。4連続三振を奪う好投を見せた。

 直球は140キロ台後半ながら、チェンジアップなど変化球を効果的に使って打者を幻惑している。かつてとは異なる投球スタイルで、再び脚光を浴びたいところだ。

写真=BBM
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