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中日・小笠原慎之介 強く腕を振るチェンジアップ/伝家の宝刀

 


 ゆったりとしたフォームから力強く腕を振る。打者に直球だと思わせた白球は打席の手前でことごとく失速する。中日の小笠原慎之介にとってチェンジアップは欠かせない武器だ。

 自己最多の11三振を奪い、7回無失点で6勝目を挙げた8月13日の阪神戦(京セラドーム)。互いに無得点で迎えた4回裏の無死二、三塁。そこで迎えた佐藤輝明からこのチェンジアップで空振り三振を奪うと、一気にリズム乗った。

「三振を3つ取らないと点が入ってしまう。先に点を取られたほうが負けだと思っていました」。続く陽川尚将山本泰寛も連続三振に仕留めて流れを渡さず、藤浪晋太郎との甲子園V腕対決を制した。

 小笠原のチェンジアップのルーツは東海大相模高時代にさかのぼる。「甲子園の決勝は6割ストレート、4割チェンジアップって感じでしたからね」。ポイントはストレートと同じイメージで強く腕を振れるか。打者に直球と思わせた時点で勝機は高まる。そのための練習方法も開発していた。

「遠投でチェンジアップ投げてました。これなら直球と同じように投げられるから。最初は遊び気分でしたけど、結構効果はあったと思う」。70メートルほどの距離をとり、助走を付けて思いっきりチェンジアップを投げる。「腕を振ってもしっかり抜ける」感覚は、こうして養われたのだ。

 昨季自身初の規定投球回に達し、今季も新型コロナ陽性による離脱こそあったが、先発ローテーションを守っている。9月10日の巨人戦(東京ドーム)で昨季に並ぶ8勝目をマーク。「ひとつでも多く勝ちたい」。この決め球とともに白星をつかんでいく。

写真=BBM
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