“小さなヒットマン”が巻き返しを図る。
西野真弘が、こんがりと日焼けした素肌を見せる。3月31日の
西武との開幕戦(ベルーナ)で三番・二塁でスタメン出場。昨オフにメジャー移籍した主砲の
吉田正尚の“代役”に抜擢された形となった。
32歳になった巧打者は「昔はプレッシャーに感じることもあったけど、今は心境が違う。まずは、この場(グラウンド)に立てることに感謝して、楽しみたいと思うようになった」と心境を口にする。ここまでのプロ生活は、度重なるケガに苦しんできただけに、自然と出る言葉だった。
2015年にドラフト7位でオリックスに入団。プロ2年目の16年には全143試合に出場し、シーズンを完走した経験がある。「年間を通して試合に出させてもらった経験があるからこそ、今は1試合1試合の重みを感じてプレーしています」と、中堅になった自身の立場を理解しつつ、一球にかける。
21年の優勝時は出場18試合に終わり「何も貢献できていなかったので、本当に悔しかった」と胸中を吐露した。ただ、昨季の日本一には大きく貢献。日本シリーズでもスタメン起用され、要所で渋みを光らせた。
「バント、進塁打、四球……。とにかく、チームのために試合を進ませること。その意識だけです」
役割を徹底する意識の高い貴重な選手だが、今季は4月28日に出場選手登録を抹消され、二軍で再調整を経て5月2日に一軍再昇格も同5日に降格。巧打が光る背番号5の力は、シーズン中盤、そして終盤に必要になるのは間違いないだけに、来るそのときに向けて牙を研いでいく。
写真=BBM