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DeNA・東克樹 プロの勝負勘と意地でつかみ取った大きな10勝目/これぞプロの技

 

京田[右]がいいタイミングでタイムをかけてくれたことも大きかったと東は言う


 プロの勝負勘と意地でつかみ取った大きな10勝目だった。8月18日の阪神戦(横浜)、1対1の7回表。ナイターでも、グラウンドの気温は30度を優に超えるマウンドで、好投していた東克樹をアクシデントが襲った。

 不運な安打も重なり一死満塁の大ピンチ。代打・ミエセスに粘られ、「何球目かは分からないけど」左ふくらはぎがつり出した。8球目を投じた直後、異変を感じ取った遊撃の京田陽太がタイムをかけた。ベンチから齋藤隆チーフ投手コーチがトレーナーとともに駆け寄る。治療のため一度、ベンチへ下がることも提案されたが「下がったらリズムが悪くなる。このまま、ここは僕に行かせてください」と続投を志願。「京田さんが本当にいいタイミングでタイムをかけてくれて、間ができたので、ストレッチをすることもできて、治まった部分もあった」と感謝した。

 フルカウントからさらに2球粘られ11球目。極限状態で山本祐大とのバッテリーが選択したのは、ストライクゾーンへのチェンジアップ。「あの場面、ゴロを打ってくれたら一番いいと思って」と腕を振り、狙いどおりの三ゴロ併殺打に仕留め無失点。実はこの場面、三浦大輔監督は次の近本光司に回った時点で継投を決めていた。その裏、チームが勝ち越しただけに、安打や四球はもちろん、極論三振でも勝利投手の権利は得られなかった。まさに最高の結果だったと言える。

 新人王に輝いたルーキーイヤーの2018年以来、5年ぶりの10勝目を挙げた東は、そのままリーグ最多の16勝、同最高の勝率.842で2冠を獲得するなど大きな飛躍を遂げた。

写真=BBM
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