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広島・會澤翼 ベンチでの学びを“強さ”に変える/年男の決意

 

坂倉の捕手としての台頭があるものの、まだまだ會澤の力は必要だ


 自身に言い聞かせるように、會澤翼は「うまくなると自分を信じて、体も精神面もしっかり鍛えたい」と力を込めた。昨季は直近10年間で最少の54試合の出場にとどまった。強い巻き返しへの思いを胸に、36歳のシーズンを迎える。

 出場機会の激減は、坂倉将吾の捕手専念の影響があった。豊富な経験がありながら、打率.172と持ち味の強打も影を潜めるなど、結果を残すのは簡単ではなかった。ただ、プラスも。「久々にベンチで試合を見る機会が多かったが、すごく勉強になった。すごく周りが見えるようになった。僕にとってすごく苦しい1年でしたけど、こういう経験もして良かったと思う」と受け止めた。

 ベンチから試合を見守り続けた中で特に勉強になったのは、他球団の監督の采配だという。「ここでエンドランをかけてくるんだな、とか。監督の色がすごく出る。そこら辺が見えた」。先発マスクをかぶった39試合の先発防御率は2.84。今までとは違った視点で冷静に戦況を分析した成果は、ほかの2選手が先発出場した104試合の同3.40を大きく上回る成績にも表れている。

 将来的に侍ジャパンの正捕手としても期待される坂倉の存在は大きい。それでも控え捕手に甘んじるつもりはない。新井貴浩監督も「アツ(會澤)が良ければマスクをかぶってもらう。いたずらに、それ(世代交代)ありきで進めようとは思っていない」と競争を強調する。2位に躍進した昨季のチームの勢いを生んだ一つに、田中広輔の復活があった。今季、ベテラン・會澤の奮闘が、チームのさらなる強さを引き出すはずだ。

写真=BBM
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