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東京六大学フレッシュリーグ

ナックルを武器に40歳右腕が神宮デビュー

 

東大の3年生・伊藤は4月15日、慶大とのフレッシュリーグで先発し1回4失点。特長を生かすため、36球中14球がナックルだった。同リーグは2年生以下の出場規定があるが、東大は部員不足のため、3年生以上も登録できる/写真=川口洋邦


伊藤一志(東大)が不惑の挑戦フレッシュリーグに初登板


「神宮球場は広いな」。そう感じながら投げた初球。91キロのナックルボールが弧を描いた。ストライク。東大ベンチから大きな歓声が上がった。

 4月15日、東大の40歳右腕・伊藤一志(3年・東海高)が今春から導入された「東京六大学フレッシュリーグ」の慶大戦で初めて神宮のマウンドに立った。先発して1回を投げ、2安打3四球。味方の失策が絡んで4失点したが、自責点1で降板した。ストレートの最速は108キロだった。

 試合後、報道陣に囲まれた伊藤は「先制点を取られて、チームに迷惑をかけてしまった」と悔しがった。

 1993年秋、東大が法大から40年ぶりに勝ち点を挙げた。当時、高校2年生だった伊藤はTVでそのニュースを見て「東大で野球をしよう」と決めた。だが、現役では東大に合格できず、一浪して慶大に入学。卒業後は医師になるために日本医科大に進んだ。そのころも東大を受験していたのだが、実習で忙しくなり、一時は断念。医師免許を取得し、都内の病院を経て、埼玉医大国際医療センターで麻酔科医として勤務した。34歳になって、東大への思いが再燃。2012年に東大の文科III類に合格し、15年に入学した。

「10回は東大を受験したと思います。不屈の精神? いえ、一度あきらめたので、不屈ではないです。そんなに強い人間ではありません」

TBS入社のアナウンサーから打ち取るためのアドバイス


 東大野球部に入ったとき、伊藤は38歳。周囲との体力差は歴然だった。「走り込みはきつかった」と笑う。

 伊藤と同期で、マネジャーを務める中川駿(3年・学芸大付高)は言う。

「伊藤は『しんどい』『きつい』と言いながらも・・・

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