二死満塁です。打者はレフト前に痛烈な安打を放ちました。三塁走者と二塁走者はゆっくりとホームを踏みましたが、守備側は「二塁走者は三塁ベースを踏んでいない」とアピールし、これが認められ二塁走者はアウトです。このアウトとなったプレーの前に三塁走者は本塁を踏んでいますが、この得点は認められますか。

　得点は認められません。規則7.12は前走者の触塁失敗の影響について述べています。

「0アウトまたは1アウトのとき、前位の走者が、ある塁に触れ損ねるか、リタッチを果たさなかったとしても、正しく各塁に触れて進んだ後位の走者は、前位の走者の責を負ってその正しい走塁を取り消されることはない。ただし、2アウト後、前位の走者がアピールによって3人目のアウトとなったときには、後位の走者が正規に本塁に触れていても、その走者の得点は認められない。また、その第3アウトがフォースアウトの形をとったときには、他のすべての走者が正規に本塁に触れていても、その得点は認められない」

　問の例はこの規則の最後の段に該当します。

　2007年8月30日のレッズ-パイレーツ戦で実際にあったプレーです。4回のレッズの攻撃は二死満塁で、エンカナシオンの左前打で三塁からケン・グリフィ、二塁からアダム・ダンがホームを踏みましたが、ダンは三塁ベースを踏んでいなかったのです。塁審はそれを確認していたので、パイレーツから抗議があると、直ちにダンにアウトが宣告されました。フォースプレーなので、その前に本塁を踏んでいたグリフィーの得点も取り消されました。

　これが満塁ではなく、走者二、三塁であれば、フォースアウトではないので、三塁走者の得点は認められます。また、無死または一死満塁であれば、二塁走者が三塁ベースを踏まないでアウトになっても、三塁走者の得点は認められます。