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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

二死満塁から登板のA投手が味方エラーで得点を許し次打者Bを四球で出してその後、連続適時打。Bも得点したがAに自責点がつかないのはナゼ?【後編】

 

4月9日の阪神DeNA(甲子園)の8回裏、二死満塁(この時点では7対8でDeNAがリード)で山崎康晃選手が登板した場面で、打席の福留孝介選手に飛球を打たせましたが、右翼手のソト選手がエラーをしました(10対8に。失策が記録)。これで出塁した福留選手がホームにかえるまでは山崎選手に自責点がつかないのは分かりますが、次打者の鳥谷敬選手を四球で出して、ナバーロ選手が適時打(福留選手がかえって11対8)で続き、梅野隆太郎選手の適時二塁打で鳥谷選手がホームインしたのに、山崎選手に自責点がつかないのはナゼでしょうか?【後編】

 前号(5月6日号)の続きです。前編では野球規則9.16に定められている“自責点”についてと、“攻撃側プレーヤーをアウトにできる守備機会”について説明しました。

 9.16【注1】には、「(※前略)守備側に相手チームのプレーヤー2人に対するアウトの機会があった後(※つまり二死後)、前記の得点(※前編で紹介した自責点の要件)があっても、次に該当する場合は、投手の自責点とならないことを規定している」

 とし、以下の2点が挙げられています。

「(1)その得点が3人目のアウトを利して記録された場合、あるいはそのアウトが成立したとき、またはそれ以降に記録された場合」と「(2)その得点が3人目のプレーヤーが失策のためにアウトにならなかったときに記録されるか、またはそれ以降に記録された場合」

 問のケースはこの(2)に当てはまり、3人目のプレーヤー(=福留選手)がエラーで塁に生き、その後の記録された失点であるため、山崎選手に自責点は記録されません。極端な例を挙げると、二死から味方失策があってそのイニングが続いた場合、その後、投手が5点、10点と失点を重ねても、自責点にはならないということです。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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