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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

打者はバットのすべり止めとして松ヤニを使用しているのに、投手の場合はなぜ問題になる?

 

マリナーズの菊池雄星選手が5月8日(日本時間9日)の敵地でのヤンキース戦に先発し、今季2勝目を挙げました。しかし、試合後に菊池選手が帽子のツバに滑り止めの松ヤニをつけて使用しているのではないか、という疑惑が浮上しました。打者はバットのすべり止めとして松ヤニを使用していますが、投手の場合は何が問題なのでしょうか。

 締め切り時点で菊池雄星選手がそのような行為をしていたのか、そうではないのか、はっきりとしたことは分かりませんので、ここでは触れませんが、一般的な例として、松ヤニに限らず、投手がボールに異物(公認のロジンバックを使用することは認められていますが、これを用いてボールを汚すことは禁止されています)をつけること自体、野球規則で禁止されています。

 “投手の禁止事項”について触れた6.02(C)には「投手は次のことを禁じられる」として(4)に「ボールに異物をつけること」と定められています。

このほかにも「(1)投手が投手板を囲む18フィートの丸い円の中で、投球する手を口または唇につけた後にボールに触れるか、投手板に触れているときに投球する手を口または唇につけること」、「(2)ボール、投球する手またはグラブに唾液をつけること」、「(3)ボールをグラブ、身体、着衣で摩擦すること」、「(5)どんな方法であっても、ボールに傷をつけること」、また、(6)として「(2)〜(5)項で規定されている方法で傷つけたボール(中略)を投球すること」が禁じられています。

 例外として「天候が寒い日の試合開始前に、両チーム監督の同意があれば、審判員は投手が手に息を吹きかけることを認めることができる」とありますが、やはりボールに細工を施す行為はフェアではなく、規則上は禁止されているわけです。なお、MLBでは2014年にヤンキース(当時)のマイケル・ピネダ投手が、試合中に首筋に塗った松ヤニを使い、10日間の出場停止処分となった事例があります。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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