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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

無死一塁から打者が三塁ライン際にボテボテのゴロ。投手が打球を処理し一塁送球も走者と一塁手が接触捕球ができなかった場合、判定はどうなる?

 

10月29日に行われたMLBのワールドシリーズ・アストロズ対ナショナルズの第6戦、7回のナショナルズの攻撃でのことです。無死一塁で一番・ターナーが三塁ライン際にボテボテのゴロを放ち、アストロズのピッチャーのピーコックがこれを処理、一塁へ送球しましたが、やや逸れたため、一塁手のグリエルがファーストミットを伸ばしたものの、打者走者に接触し、捕球できず。打者走者、一塁走者ともにさらに1つずつ進塁し、二、三塁に達しました。しかしここで審判団がターナーにアウトを宣告し、一死一塁で再開されました。なぜでしょうか。

 打者走者が一塁線の内側を走っていたため、ターナー選手の守備妨害とされたためです。“打者アウト”を定めた野球規則5.09(a)(11)には次のよう場合、打者にアウトを宣告するとあります。

「一塁に対する守備が行われているとき、本塁一塁間の後半を走るに際して、打者がスリーフットラインの外側(向かって右側)またはファウルラインの内側(向かって左側)を走って、一塁への送球を捕えようとする野手の動作を妨げたと審判員が認めた場合。この際は、ボールデッドとなる」

 ターナー選手は右打席に立っていましたが、一塁へ走り出した直後ならまだしも最後までファウルラインの、しかもかなり内側を走っていました。ピーコック選手の送球が打者走者側に逸れていましたが、ターナー選手がスリーフットレーンの中を走っていれば一塁手のグリエル選手は捕球できたと考えられます。いずれにしろターナー選手の守備妨害は明らかで(グリエル選手との接触がなかったとしても、ファウルラインの内側を走っているため)、ナショナルズのマルティネス監督の猛抗議は逆に疑問ですが、4分32秒のリプレー検証の結果、やはり判定は覆りませんでした。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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